何で、あんなに強かった戸愚呂弟がB級なんだ?!
当時小学生だった僕はコミックを読みながら、コエンマの「戸愚呂弟はB級上位」という発言に納得がいきませんでした。僕と同じように「戸愚呂弟はB級」という事実に納得できなかった人も多いはず。
そこで今回は戸愚呂弟の強さや評価、その魅力に迫っていきたいと思います。
※本記事は下記動画でも解説しています。
連載時から波紋を生んだ戸愚呂弟の強さ設定
『幽☆遊☆白書』の劇中で前半の中盤から始まった暗黒武術会編は本作のブレイクの大きな要因になりました。
コミック52話~112話まで実際に一年以上もの期間、浦飯チームに立ちはだかった強大な敵といえば前回優勝の戸愚呂チームです。
なかでも戸愚呂弟は暗黒武術会編の実質的なラスボスの役割を果たすとともに、その強さは時として幽助を恐怖、畏怖させ、その反面純たる強さの憧れとして、さまざまな面から幽助の成長を促した要因になりました。
戸愚呂弟の相対的な強さは暗黒武術会編終了後にコエンマの口から語られています。
それはS級妖怪の存在について言及するとともに暗黒武術会で圧倒的な力を誇った戸愚呂弟はB級上位、飛影はそれに及ばずB級中位という辛辣な評価がされています。
これは、これから登場するA級及びS級妖怪の強大さは底知れぬ存在だと読者に印象づけるとともに納得のいかないファンも多く当時からキャラクターの強さ議論を生み出しています。
強さのインフレは人気漫画の宿命?
強さのインフレはバトル漫画の宿命とも言え、長期連載になれば致し方ないかと言えるでしょう。
『幽☆遊☆白書』連載時90年代前半の週刊少年ジャンプの看板作品にて『ドラゴンボール』では展開が進むに連れて、ヤムチャ、天津飯、ピッコロ大魔王、ベジータ、さらにはフリーザですらトランクスに一刀両断されています。
またジャンルの違うスポーツ漫画である『SLAM DUNK』では、インターハイ1回戦で対戦する大阪の豊玉高校に翔陽高校が屈した描写がありました。
「北斗の拳」のファルコ、「聖闘士星矢」の黄金聖闘士、「魁!!男塾」の三号生など例を挙げればキリがなく、物語にドラスティックな展開を生むには必要な要素で、人気漫画、長期連載作品の証であるとも言えます。
連載終了の早期決断が及ぼした戸愚呂弟のB級評価
今までのバトルアニメで衝撃を受けたシーンはこちらです。指弾で幽助をぶっ飛ばした時。からの戸愚呂はB級妖怪… pic.twitter.com/GbpooeHzrJ
— ワイズ@アリエルス待ち (@Waizudesu) September 27, 2020
戸愚呂弟がB級上位の力量の妖怪と位置づけられたままのは諸般の事情も相まったことに加え、彼のもつキャラクター性ゆえに再登場が劇中で行われなかったこともあるはずです。
魔界の扉編後の魔界統一トーナメント編では、暗黒武術会編で登場した六遊怪チームの“酎”、魔性使いチーム”の“凍矢”、“陣”、裏御伽チームの“死々若丸”、“美しい魔闘家鈴木”らは蔵馬の誘いを受けて幻海のもとで厳しい修業を積み重ねて、短期間で妖力値10万以上のS級妖怪へと成長し劇中で再登場を果たしています。
これらのキャラクターは暗黒武術会では戸愚呂弟の足下にすら及びませんでした。戸愚呂弟は自らの望みで冥獄行きになったこと、そして劇中で退場してから、30話程度で終了が決定したこともあってか、再登場の機会はありませんでした。
魔界の常識の範疇を越えた戸愚呂弟の強さとは?
物語が進むに従って起こる強さのインフレーション、そしてパワーアップしての再登場がなかったゆえに戸愚呂弟はB級妖怪と位置づけられたままでした。ただし、この位置づけをより難しくしているのは、飛影と妖狐蔵馬が魔界時代は元A級妖怪だったことが明らかにされたことです。
「信じられん、本当に元人間か!?」
「化け物め…」
劇中では飛影がよく戸愚呂弟を指して驚愕するシーンが見受けられます。”憎まれ口をたたく、素直じゃない子供”と作者にキャラクター設定された飛影から素直に実直な驚愕の台詞を喋らせるほど、元A級の彼らの常識を越えた範疇に到達していたのは間違いないでしょう。
再登場の余地を残すため、戸愚呂弟のB級設定?
戸愚呂弟は段階的にその力を解放させていき、劇中のラストでは120%の能力を解放させたため幽助に破れて、消滅の浮き目にあいました。
敗れた際に「他の誰かのために120%の力を出せる…… それがお前たちの強さだ……。」と自分の越えられなかった壁を越えた幽助とその仲間を称賛しています。
もし彼が再登場する機会を与えられたのならば、その拳を通じて弟子に等しい幽助の危機を救うために120%もしくはそれ以上の力を持って現れたのかもしれません。
劇中ではコエンマも眉を潜めるほど苛烈な冥獄界行きを自ら進言しています。
あらゆる苦痛を1万年かけて与え続けそれを1万回繰り返した段階で魂は消滅するという苦行です。苦行であり、戸愚呂弟自体は転生はできないものの、“一万年続く苦痛”を耐えるというパワーアップ要素と再登場への余地は残していました。編集サイド的には物語の起爆剤として温存していた可能性も高いと思われます。
まとめ
今回は「【幽遊白書】戸愚呂弟がなぜ”B級妖怪”とされているのか?その疑問に迫る!」と題して、下記内容をお話ししました。
•強さのインフレは人気漫画の宿命?
•連載終了の早期決断が及ぼした戸愚呂弟のB級評価
•魔界の常識の範疇を越えた戸愚呂弟の強さとは?
•再登場の余地を残すため!?戸愚呂弟のB級設定?
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